【2024年】太陽光発電の売電価格は?売電制度のメリットを解説

太陽光発電で発電して余った電力は、売電制度を利用して収入にすることができます。

 

売電制度では、契約する際に固定された売電価格があり、毎年変動する単価によって10~20年間の売電収入が決まります。

では、売電制度を利用するにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

そこで、本記事では、太陽光発電の売電制度について、売電価格の推移と今後の運用方法とメリット、卒FIT後の利用方法として自家消費型について解説します。

 

 

1. 太陽光の売電制度とは?

 

売電制度とは、太陽光発電設備で発電した電力を固定価格で電力会社に売電できる仕組みです。

 

太陽光パネルの発電量が消費電力量を上回った場合に、余剰電力を電力会社に買い取ってもらうことができます。

 

固定価格については毎年更新され、売電契約した年の単価で一定期間、売電収入として経済的メリットを得ることが可能です。

 

 

売電制度は、2種類「FIT制度」「FIP制度」があり、利用できる対象と条件が異なります。

 

 

売電制度の種類

  • FIT制度
  • FIP制度

 

売電制度の種類

FIT制度 FIP制度

単価

固体価格

市場価格による変動がある

対象者

個人または法人向け 50kW以上の法人向け
非化石価値 なし

取引できる

インバランス負担 なし

あり

 

 

FIT制度

 

FIT制度とは、電力会社が一定期間に固定価格で発電事業者から電気を買い取る制度です。

 

「Feed-in Tariff(フィード・イン・タリフ)」の略称で、2012年7月よりスタートしています。

 

FIT制度を利用するメリットは、発電設備の高い建設コストなども回収の見通しが立ちやすくなることです。

 

FIT制度は、2012年7月に開始して以降、2017年3月末時点で既に約5,600万kWに達し、設備容量は2012年からの

年平均伸び率で26%に上昇しているという経緯があります。

 

売電価格については、一定期間、売電契約時の単価で売電できるので、市場価格に左右されずに利用することができます。

 

 

 

FIP制度

 

FIP制度とは、電力市場によって買取価格が変動し、電力市場での売電価格で電気を買い取る制度です。

 

「フィードインプレミアム・Feed-in Premium」の略称で、2022年4月からスタートしまています。

 

発電事業者は、電力市場で自由に売買することができて、さらに一定の「プレミアム」が加算される仕組みです。

 

「プレミアム」が付くことでFIT制度の固定価格に比べて売電価格が高くなるメリットがありますが、市場の状況

によって買取価格が変動した時期は、売電価格が低くなって収入も低下します。

 

 

FIP制度では、市場と連動する価格を「参照価格」といい、以下の計算で算出されます。

 

参照価格=「卸電力市場価格」に連動して算定された価格+「非化石価値取引市場価格」に連動して算定された価格-バランシングコスト

 

 

2. 売電制度を利用するメリット

 

売電制度を利用する際は、以下のメリットがあげられます。

 

  • 安定した価格で売電することができる
  • 一定期間に収入を得られる
  • 環境保全に貢献できる
  • 日本のエネルギー自給率が上がる

 

自社で発電した余剰電力を無駄なく収入に繋げることができれば、投資の資金として活用することができます。

 

また、従来型の化石燃料の使用を軽減することで、二酸化炭素の排出を削減し地球にやさしい取り組みに貢献

することが可能です。

 

 

 

売電制度を利用しない方が良いケース

一方、売電制度を利用する際は、売電価格の推移について確認することが必要です。

 

売電制度の買取価格は年々下落傾向にあり、変動リスクには注意しましょう。

 

固定価格買取制度(FIT制度)がスタートした2012年度は、1kWhあたり「42円」で、2025年度の売電価格は、1kWhあたり「15円」です。

 

したがって、売電価格の下落と電気料金の高騰など市場の動向を踏まえると、売電制度を利用せずに自家消費型

にシフトした方が良いケースもあります。

 

また、以下の場合は、売電制度を活用しない方が良いケースです。

発電量が得られず、売電収入と支出のバランスが悪い場合は、売電制度の利用は見合わせた方が良いでしょう。

 

  • 発電量が少なく、消費電力より増える見込みがない
  • 電気をあまり使用しない
  • 太陽光パネルを設置する屋根の面積が狭い
  • 屋根の形状が特殊である
  • 初期費用が高くて採算が見込めない

 

 

3.【2025年】の売電価格

 

2025年度の売電価格は、10kW未満「15円/kWh」、 10kW〜50kW未満「10円/kWh」です。

 

売電価格は、年々減額傾向になっているため、売電契約する場合は、できるだけ売電価格が高いタイミングで

始めることをおすすめします。

 

 

売電価格の推移

では、今まで売電価格の推移について確認しておきましょう。

 

2022年度までは1年に2円ずつ売電価格が下がっており、それ以降、2025年までは1年に1円ずつ下落しています。

 

 

太陽光発電の売電価格に推移

10kW未満 10kW以上50kW未満

2012年

42円(税込) 40円(税抜)

2013年

38円(税込) 36円(税抜)

2014年

37円(税込)

32円(税抜)

2015年 33円(税込)

29円(税抜)

2016年 31円(税込)

24円(税抜)

2017年

28円(税込) 21円(税抜)

2018年

26円(税込)

18円(税抜)

2019年 24円(税込)

14円(税抜)

2020年

21円(税込) 13円(税抜)
2021年 19円(税込)

12円(税抜)

2022年

17円(税込) 11円(税抜)
2023年 16円(税込)

10円(税抜)

2024年

16円(税込)

10円(税抜)

2025年 15円(税込)

10円(税抜)

 

売電価格が下落している理由については、まずは、売電制度の買取価格は、太陽光発電の設置価格を目安に設定されているという前提があります。

 

太陽光発電設備の普及で市場が拡大することによって、太陽光発電のメーカー各社の競争で設備価格が安くなっており、それに伴い売電価格が調整されて年々低下しているということです。

 

売電価格を決めるのは、経済産業省の「固定価格等算定委員会」という部署で、太陽光発電の普及や状況などによって検討されています。

 

したがって、売電価格の下落については、売電収入が期待できないという一面がありますが、一方、太陽光発電設備の費用が安くなって導入しやすくなっていることもあり、太陽光発電設備自体が導入しにくくなっているということではないです。

 

 

 

卒FIT後の売電価格の動向

太陽光発電システムの売電契約が満了する「卒FIT」後は、買取価格は大きく下落する見込みです。

「卒FIT」とは、再生可能エネルギーのFIT制度の適用期間が終了することです。

住宅用太陽光発電システム10kW未満では「10年後」、産業用太陽光発電システム10kW~50kW未満では「20年後」の運用方法について計画しておきましょう。

 

卒FIT後は、契約時よりも売電価格が低下するため、そのまま売電を継続するよりも自家消費型で運用した方が

メリットに繋がる傾向です。

 

 

4. 卒FIT後の利用方法

 

では、卒FIT後の利用方法について解説します。

売電価格の推移や市場の状況、運用方法などから適切な方法を選びましょう。

 

 

自家消費型へシフトする

太陽光発電システムで発電した電力を売電に回すのではなく自社で自家消費へシフトする方法です。

 

自家消費型のメリットは、以下のポイントがあります。

 

  • 化石燃料の価格が高騰に左右されず電気代が削減できる
  • 二酸化炭素CO2の削減になり、環境保全に貢献できる
  • 災害時の非常用電源としてBCP対策になる
  • 売電制度の買取価格に左右されない
  • 節税対策になる

 

一方、自家消費型の太陽光発電設備には、初期コストがかかりますが、国や自治体が公募している補助金制度

活用することで、費用負担を軽減することができます。

 

また、効率的に発電量を活用するには、太陽光発電と一緒に蓄電池を併用することをおすすめします。

 

太陽光発電設備のみでは、昼間に発電した電力を貯めておくことができないため、早朝や夜、天候の悪い日など

に自家消費型にするには、蓄電池が必須となります。

 

蓄電池設備が対象の補助金制度も合わせて検討しましょう。

 

 

 

大手電力会社に売電する

卒FIT後も売電できる大手電力会社の売電価格についてまとめておきます。

 

売電価格の幅は、利用するプランによって異なります。

 

  • 北海道電力:8.0円/kWh
  • 東北電力:9円/kWh
  • 東京電力エナジーパートナー:8.5円/kWh
  • 中部電力:7円~12円/kWh
  • 北陸電力:1円~17円/kWh
  • 関西電力:8円/kWh
  • 中国電力:7.15円/kWh
  • 四国電力:7円/kWh
  • 九州電力:7円/kWh
  • 沖縄電力:7.7~8.2円/kWh

 

 

新電力会社に売電する

 

卒FIT後も継続して売電する場合は、高価格の売電価格でプランが提供されている新電力と契約することも検討できます。

複数の電力会社を比較して、売電価格が1円でも高いプランで契約できることが必要です。
新電力は、大手電力会社よりも売電価格が高い傾向です。

 

卒FIT後も売電できる新電力の売電価格についてまとめておきます。

売電価格の幅は、エリアによって異なります。

 

  • 出光興産idemitsuでんきの太陽光買取:9.59円~11.5円/kWh
  • SMARTTECHスマートFIT:8.5円~11.5円/kWh
  • 積水ハウス&積水ハウスオーナーでんき:11円/kWh
  • 丸紅ソーラートレーディング:9円〜15円/kWh
  • 東京ガス:10.5円〜23円/kWh

 

 

まとめ

太陽光発電システムで売電制度を利用する際は、売電価格の推移と市場の状況をチェックし、自家消費型の運用方法についても合わせて検討しましょう。

初期費用については、補助金制度を活用し資金調達の負担を抑える方法も検討しましょう。

システム導入においては、蓄電池を同時設置すると経済的メリットも期待できます。

 

太陽光発電の売電価格は年々下落傾向ですが、一方、太陽光発電設備の価格が安くなりお求めやすくなっています。

なお、今後の運用方法としては、太陽光発電で発電した電力は蓄電池で貯めて自家消費する方法が主流となっていく傾向です。