太陽光発電と蓄電池を併用するメリット・注意点を解説

太陽光発電を導入する際は、蓄電池を同時設置することでさまざまなメリットが得られます。

 

売電制度の単価が下落傾向にあり、電気代の高騰が続く中、蓄電池を併用することで経済的な運用効果が期待できます。

 

政府は、自家消費型の運用を推奨していますので、企業や個人が太陽光発電システムを利用する際は、蓄電池を導入するメリットと注意点を確認しておきましょう。

蓄電池は、太陽光発電システムを補う機能があり、今後、自家消費型で活用する際はおすすめの設備です。

 

そこで、本記事では太陽光発電と蓄電池を併用するメリット、注意点を解説します。

 

 

1. 売電から自家消費型へのシフト

太陽光発電の運用方法には、FIT制度を利用した売電があります。

 

FIT制度とは、太陽光パネルで発電した電力を電力会社に固定価格で一定期間に売電できる仕組みです。

余剰電力を効率よく収入に変えることができるので、太陽光発電の初期費用を回収できる方法としても注目されていました。

 

しかし、FIT制度の売電価格は、年々下落傾向にあるため、契約満了後の運用方法については改めて検討する必要があります。

 

そのまま継続して売電を続けるか、または自家消費型にシフトして、発電した電力はすべて自社で賄う方法を

選ぶか、メリットが得られる方法を選択するようになります。

 

 

FIT制度がスタートした2012年の売電価格は「42円」でその後、毎年1〜2円ずつ低下の推移をたどり、2025年には「15円」となっています。

経済産業省によりますと、売電価格を段階的に低下させて2030年度には8.5円/kWhを想定していると公表しています。

 

したがって、太陽光発電を設置してから10年後の卒FITには、自家賞型にシフトした方が経済的なメリットが

あり、蓄電池の同時設置により発電量を無駄なく活用できるようになるということです。

 

 

太陽光発電の売電価格の推移

10kW未満 10kW以上50kW未満
2012年 42円(税込)

40円(税抜)

2013年

38円(税込) 36円(税抜)
2014年 37円(税込)

32円(税抜)

2015年

33円(税込) 29円(税抜)
2016年 31円(税込)

24円(税抜)

2017年

28円(税込) 21円(税抜)
2018年 26円(税込)

18円(税抜)

2019年

24円(税込) 14円(税抜)
2020年 21円(税込)

13円(税抜)

2021年

19円(税込) 12円(税抜)
2022年 17円(税込)

11円(税抜)

2023年

16円(税込) 10円(税抜)
2024年 16円(税込)

10円(税抜)

2025年

15円(税込)

10円(税抜)

 

 

 

2. 蓄電池は自家消費型に相性が良い?

 

蓄電池とは、太陽光パネルで発電した電力や電力会社から購入した電力を貯めておくことができる設備です。

 

太陽光発電は、昼間に発電した電気をその日に使うことはできますが、貯めておいて自由に使う機能はありません。
夜に日が沈み太陽光がなくなれば発電しないので、電力会社から購入した電気を使うようになります。

 

そこで、発電した電気を蓄えておける蓄電池を併用して使うことで、太陽光発電単体ではできなかった機能を

補うことができるようになります。

 

太陽光発電と蓄電池は、セットで使うことによって、さまざまなメリットを得ることができます。

 

 

3. 蓄電池導入のメリット4選

 

では、具体的に、蓄電池を使用するメリットを確認しましょう。

 

  • 電気代が安くなる
  • 災害時に役立つ
  • 発電量が天候に左右されない
  • 環境保全に貢献できる

 

 

3-1.電気代が安くなる

蓄電池に貯めておいた電気は、発電しない悪天候、夜や早朝に使うことができるようになり、その分、買電量が減るので電気代が安くなります。

電気代の高騰で節約方法を考えている方には、省エネ対策として蓄電池の利用がおすすめです。

 

 

3-2.災害時に役立つ

災害の多い日本では、停電対策に蓄電池が有効活用できます。地震や台風などで停電が続いた際に非常用電源を

確保できるようになります。

 

災害時には、正しい情報を集めるためや家族との連絡方法にスマホの充電が必要です。

また、停電によるストレスを無くすためにも電気が通常通り使えるメリットは大きいです。

 

停電時に使える蓄電池の容量の目安は、8kWh〜12kWhの大きな蓄電池の場合で、およそ2〜3日程度の電気を

確保することができます。

太陽光発電が設置されていて発電を続けることができれば、1~2週間は、停電時をしのぐことができます。

 

なお、蓄電池には、「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類がありますので、使用条件に合わせて機能性を確認しておきましょう。

 

  • 全負荷型:停電発生で即、蓄電池からの電力供給に切り替わる。家全体で使える
  • 特定負荷型:特定の部屋、家電製品のみを稼働できる

 

 

3-3.発電量が天候に左右されない

太陽光発電は、天候の悪い日や時間帯によって発電量が低下します。

 

しかし、蓄電池があれば、発電量に影響する悪条件に関わらず安定して電気を使用することができるようになります。

特に、工場やオフィス、店舗などに太陽光発電による電気を利用している場合は、蓄電池を設置することで、

天候に左右されず安定して事業を継続することができます。

 

 

3-4.環境保全に貢献できる

蓄電池と一緒に太陽光発電を稼働させることで、環境保全に貢献することができます。

 

太陽光発電で発電した電気は、従来型の化石燃料とは異なり、二酸化炭素(CO2)を排出しません。

二酸化炭素の排出の影響で地球の平均気温の上昇や異常気象の発生、生態系への影響や私たちの健康被害など、

さまざまな問題が起きています。

 

そこで、太陽光発電を導入することで、環境経営の取り組みを実践している企業として認知されるメリットがあります。

 

 

 

4. 蓄電池を利用する際の注意点4つ

 

蓄電池を利用する際は、メリット以外にデメリットや注意点を確認しておきましょう。

 

  • 初期費用が高くなる
  • 設置スペースが必要になる
  • メンテナンス費用を準備する
  • 蓄電池の寿命を確認する

 

 

4-1. 初期費用が高くなる

太陽光発電と蓄電池を同時設置すると経済的メリットは得られますが、初期費用は高くなります。

 

経済産業省(2023年)による太陽光発電の設置費用については、1kWあたり平均28.8万円(新築の場合)で、

住宅用太陽光パネルの容量3〜5kWで86.4万~144万円となっています。

 

さらに、蓄電池を併用する場合は、蓄電池の平均価格(2022年)は、蓄電容量1kWhあたり13.9万円(工事費込み)

で、蓄電容量は4〜8kWhで、およそ55.6万〜111.2円となっています。

 

 

4-2. 設置スペースが必要になる

蓄電池を設置する際は、温度管理や結露の防止など維持管理しやすい場所で、一定のスペースを確保する必要があります。

 

蓄電池の点検で作業しやすいスペースも考えて準備しましょう。

また、蓄電池は動作音が発生するため音に対する配慮も必要です。

 

 

4-3. メンテナンス費用を準備する

太陽光発電設備と蓄電池の設備費用の他に、導入後のメンテナンス費用も準備が必要です。

 

蓄電池のメンテナンスついては、充放電のサイクル数に寿命に合わせて点検・修理・交換が必要になります。

ただし、、PPA事業を利用する際は、サービスの契約期間中は、メンテナンス費用がPPA事業者の負担になります。

 

蓄電池のメンテナンス費用の相場については、部品交換のみで5〜10万円程度、交換でパワコンが蓄電池専用の

場合10〜40万円程度、ハイブリッド型で25〜60万円程度になります。

 

 

4-4. 蓄電池の寿命を確認する

蓄電池の寿命は、使用条件などによって前後しますが、およそ10〜15年程度が目安です。

 

充放電のサイクル数とメーカーの保証期間について、購入前にチェックするようにしましょう。

 

 

 

5. 蓄電池を選ぶ際のポイント4選

 

では、続いて、どのようなタイプの蓄電池を選んだらよいのか判断するためのポイントを確認しましょう。

 

  • 蓄電容量
  • 太陽光発電設備との連携
  • 保証期間
  • サイズと設置場所

 

 

5-1. 蓄電容量

蓄電池の容量については、使用する用途や電気消費量などに合わせて適切なものを選びましょう。

 

蓄電容量を選ぶポイント

  • 太陽光パネルの容量に適した容量を確認する
  • 通常の電気消費量を把握する
  • 停電時の使用電気量を想定しておく
  • 予算に合った蓄電池の価格を決めておく
  • 補助金制度が適用される機種を確認する
  • 蓄電池の容量の目安は、以下の計算で決めることができます。
  • 使用する電化製品の出力(W)×時間=必要な電力量(容量 kWh)

 

 

5-2. 太陽光発電設備との連携

太陽光発電の出力に合わせて蓄電池の容量を選びましょう。

 

太陽光発電の容量に対して蓄電池の容量が大きすぎないように確認が必要です。

また、太陽光発電と蓄電池を効率よく連携させるには、以下のポイントを確認しましょう。

  • 適切な設置場所を確保する
  • 蓄電池の容量と太陽光発電の出力のバランスを考慮して設置する
  • コストを抑えたい場合は同時設置で導入する

 

 

5-3. 保証期間

蓄電池の保証期間は、一般的には10年または15年程度です。保証期間中の故障・交換は、無償でできるメリットがあります。

 

メーカー保証の内容や期間は製品によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

機器保証、容量保証、自然災害補償などが付与されます。

 

 

4. サイズと設置場所

蓄電池のサイズについては、屋内型でエアコンの室外機1台分くらい、屋外型はエアコンの室外機を縦に重ねて

1~2台分ほどが一般的な目安です。

蓄電池の普及に伴い、各メーカーが小型化の蓄電池を提供しているため、省スペースでも設置しやすいサイズを探すこともできます。

 

蓄電池の重さについては、屋内型60〜170㎏くらい、屋外型120〜250㎏程度が平均的になります。

 

屋内型で設置する際は、室内の床の耐荷重を考慮して、安全性を確保したうえで設置場所を選びましょう。

 

 

まとめ

太陽光発電は蓄電池を同時設置することで、最大の効果を発揮することができます。

蓄電池は、発電した電気を効率よく活用できるため、自家消費型で運用する際は、必須の設備です。

 

電気代が安くなり非常用の電源を確保できるなど、さまざまなメリットがあり、環境保全にも貢献できるため、

ぜひ、蓄電池の導入を検討することおすすめです。